2011年7月19日火曜日

第7回研究会のアンケートの質問への返答

第7回の学生の部において、様々な質疑応答があった中で、すべての質問にお答えすることができなかったので、今回アンケートに書いていただいた質問の中から最も多かった質問に関してして、両講師の方に各3つお答えいただきました。
それを下記に紹介します。

北條さんからの返答
1. ATCを目指したきっかけは?

東ATCの後輩にあたる男性が、私がアメフト部マネージャーをしていた高校でしばらく指導をしてくれました。その際にテーピングの巻き方やリハビリテーションの基本、アメリカの大学での学生生活などを教えて下さり、とても興味を持ったのがきっかけです。その後立命館大学に進学し、アメフト部学生トレーナーとして東ATCの指導を受ける過程でATCになりたいという気持ちが固まりました。専門知識・技術を持ってさまざまな角度から選手・チームをサポートし、そこから自分の喜びを得られる仕事だと思ったからです。

2. リハビリをアレンジする上で一番注意しなければならないことは?

安全を第一に考えること、です。リハビリテーションは起こってしまった障害に対して、再発予防を促すための運動療法です。リハビリ中に再発もしくは新たな障害を誘発してしまうことは避けなければなりません。それを防ぐためには、障害部位の状態(疼痛/腫脹の有無、怪我発生からの経過日数、健部との筋力バランス等)や選手の心理状態(モチベーション等)などを考慮した上で、少しずつ強度・難易度を上げていくことが重要です。

3. 氷水の中でのABCエクササイズについて触れましたが、実際には痛い状態で動かしても悪影響ではないか?

アイシングと運動を組み合わせて関節可動域を回復させるテクニックをクライオキネティックスと言います。患部の痛感神経をマヒさせて疼痛を和らげ(pain - muscle spasmサイクルを断ち切る)、適度な運動実施を可能にします。適度な運動によって以下の効果が期待できます。
①損傷を受けた組織に過度のストレスを与えることにより、不規則に並んだ繊維の配列を整える
②細胞液や血液を患部の毛細血管に集中させて酸素・栄養分を送り、治癒を即す
③関節を積極的に動かすことで、それがポンプの役割を果たし腫脹の減少を即す


オレゴン州立大学の学生トレーナーの上村友希さんからの返答
学生の部の発表・ワークショップでは、私自信うまく伝えられない部分もたくさんあり、疑問が残った部分もあると思います。 
が、少しでも、何かを得て、みなさんの今後の役に立てばと思います。
プレゼンの後に、みなさんから質問をたくさんいただいたので、いくつかお答えしようと思います。

Q1.なぜトレーナーになろうとしたのか、渡米しようとしたのか。留学に不安はなかったのか。
私は、ATCになろうという決意の前に渡米を決めたのが先でした。正直、「日本の大学にいきたくない」「受験勉強をしたくない」という安易な気持ちから、留学を考え始めました。英語はとても不得意科目で、特に好きでもなかったはずなので、今思えば大胆な決意だったと思います。そして、留学を決めた後に、アメリカで自分が何をしたいのか考え始めました。そのときに、元NFLピッツバーク・スティーラーズのATCの磯有子さんのことを知り、ATCという仕事にとても興味がわきました。私自身、小中高と運動部だったので、スポーツに関われる仕事として、勉強していくうちに、ATCの魅力にどっぷりつかってしまいました。不安はたくさんありました(日本の大学の交換留学でもないので、語学力が上がらずにアメリカ大学になかなか入れなかったらどうしようとか)

Q2.学生トレーナーをやっていて、大変なこと、やりがいのあること。
大変なことは、やはり毎日実習があるのに加え、普通に大学の授業があります。例えば、陸上のチームについているとき、朝早くからトレーニングームに行って(早朝練習のため)、昼間は授業、夕方はまたトレーニングルームに戻って(怪我をした選手のリハビリの手伝いなど)、夜にまた授業、その後は家での復習や課題をする、そして週末は試合などのカバーなど。本当に毎日が忙しく、週末に友達と遊んだりできないこともあります。
うれしいことは、選手が毎回の練習前のテーピングに「ゆうき(私の名前)がいい」と言って私を指名してくれたり、選手がリハビリを通して怪我を克服して感謝されたとき。1度だけ捻挫の評価をしてテーピングをしてあげた中学生の選手が(ほんの10分程度だったと思います)、1年後にたまたま再開し、「あの時は覚えている、ありがとう」と言われたときは、とてもうれしかったです。

Q3.学生トレーナーとしてやっておいたこほうがいいこと。
“学生トレーナーは資格をまだ持っていない”という弱みはありますが、資格を持っていない分、それをサポートしてくれる資格所有者が周りにいます。そこを言い方は悪いかもしれませんが、利用するつもりで、どんどん積極的に質問や自分自ら進んでやろう、としてみるのがいいと思います。後、私自身がいつもやっているのは、ヘルプの声がかかったら、いつでも進んでするです。例え自分の休みが無くなっても、週末の試合のカバーをしてほしい、といわれたら行くようにしています。本当に、現場実習を積めば積むほど、あらたな知識が身に付く世界だと思います。


長くなりましたが、ATCを目指している方、目指していない方も、1人でも多くのアスリートを助けるために、お互いに頑張りましょう。

北條さん、上村さん本当に丁寧な、返答有難うございました。今後とも研究会を宜しく御願いします。               
                                                       牧野


 

1 件のコメント:

  1. Ritsumeikan Athletic研究会ではお世話になりました。会を進行された実行委員の方々、講師の皆さん、ありがとうございました。大変有意義な時間でした。

    あらためて、このような中で多くのプロのスタッフから、直に学べる学生は本当に恵まれていると思います。
    私が学生の頃とは比べ物にならない施設、環境で経験することができ、
    自分の知りたい知識や情報が手に入る。
    その環境をフル活用して、自らの活動に生かしてもらいたいですね。

    第8回はおそらく出席できないと思いますが、第9回、第10回と期待しております!

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